心臓病の危険因子の減少

質問:超越瞑想法は、血圧、コレステロール値、インスリン抵抗性など、アテローム性硬化症の身体的な危険因子にどのような影響を与えますか?

シュナイダー博士:アテローム性動脈硬化が高血圧、喫煙、高コレステロール、メタボリック症候群、インスリン抵抗性など、さまざまな危険因子によって引き起こされるのは事実です。また、根本的な原因として、フリーラジカルつまり酸化的ストレスによる生化学的なバランスの乱れがあります。研究の結果わかっているのは、慢性的なストレスは、アテローム性動脈硬化の発症や進行の直接的な原因になっているということです。それだけでなく、慢性的なストレスは、心臓病のその他すべての危険因子を増やすことにより、アテローム性動脈硬化の間接的な原因にもなっています。慢性的なストレスの影響は、コルチゾールなどのストレスホルモンによって媒介されるとともに、アドレナリンやノルアドレナリンを放出する交感神経系によっても媒介されます。

超越瞑想プログラムに関する研究では、超越瞑想によってアテローム性動脈硬化(心臓病)の主要な危険因子のほとんどすべて(心理的ストレス、高血圧、喫煙、コレステロール、酸化脂質、インスリン抵抗性など)が減少することが示されました。神経ホルモンのレベルでは、ストレスホルモンが低下し、交感神経系の疾患が減少することがわかりました。神経内分泌と心臓血管のこのような変化は、中枢神経系の秩序とバランスが高まった結果であると考えられます。

研究では、心臓血管の危険因子が減少するだけでなく、動脈の狭窄の緩和(アテローム性動脈硬化の軽減)、心臓の肥大(左心室肥大)の軽減、心臓病やその他の死因による死亡数の減少などが明らかになっています。これらの一連の結果は、超越瞑想法で超越の体験をすることによって心臓の健康が改善されることをはっきりと実証しています。

質問:症状を改善するために食事を変える必要はないのですか?

シュナイダー博士:はい。研究の結果、超越瞑想法を実践している被験者は、食事や生活習慣をまったく変えなくても心臓発作の危険因子が減少することがわかっています。もちろん、健康を増進し長寿を促進するための最善の道は、健康に有益な食事を選ぶことであるのは言うまでもありません。

質問:私はコレステロール値が高く、スタチンという薬を何年間も常用しています。超越瞑想法を実践すれば、その薬をやめることができますか?

シュナイダー博士:可能です。いくつかの研究では、超越瞑想法を実践した結果、血清コレステロールが減少したことが報告されました。どのような病状の場合も同じですが、処方された薬物療法やその他の治療法を変更する前に、かかりつけの医師またはヘルスケア・プロバイダーのアドバイスに従うことをお勧めします。

質問:心臓病を避けることはできますか? たとえば、鬱血性心不全のような深刻な症状に向かっていく流れを変えることは可能ですか?

シュナイダー博士:鬱血性心不全あるいは単に心不全は、冠状動脈性心臓病や高血圧性心疾患など、多くの形態の心臓病の最終結果です。米国ではそのために年間30万人が死亡し、過去5年間の死因原因の50パーセントを占めています。

鬱血性心不全は、薬物による治療、そして外科的介入による治療さえも非常に難しい病気です。しかし、ペンシルバニア大学で実施された超越瞑想法の研究では、心不全の従来の治療を受けながら、毎日2回の超越瞑想の実践を日課に加えた被験者は、心不全の尺度となる数値に有意な改善を示したことがわかりました。たとえば、それらの被験者は、健康教育を受けた対照群と比較して、6分間の歩行検査で機能的能力の増大を示しました。

質問:超越瞑想プログラムは心臓病患者の抑鬱を緩和することにも役立ちますか?

シュナイダー博士:はい。先ほど述べた鬱血性心不全の研究では、同じ被験者たちが、身体的な心臓の機能が改善しただけでなく、生活の質や精神的健康の向上を示しました。たとえば、超越瞑想を実践した被験者は、対照群と比較して、抑鬱が臨床的に有意に減少しました。

この結果が示しているのは、心不全の患者の通常の治療プログラムに、効果的な心身介入プログラムを追加することで、身体面でも精神面でも患者の健康に大きな改善がもたらされるということです。これは注目に値する医学的発見であり、そして、この方法を広範囲に実施するのはとても簡単なことです。